学生生活を離れると、教科書を見ることも試験を受けることもなくなりました。
それでも、今も時々、試験を受けている時の夢を見て、心が焦りながら目が覚めることがあったりします。
学生時代は、長い休みに入る前は、何日もかけて試験があったことを思い出します。
「昨日、勉強した?」
「どのくらいした?」
という話題をしながら、友だちの
「全然してないよ」
の返事に安心して、「私もそんなに勉強してないけど、周りのみんなもそんなに勉強していないのなら良かった」と思いながら試験を受けたものの、いざ答案が返ってくると、「勉強してないよ」と言っていた人たちは優秀な成績で、私一人だけが真っ青になっていた…、そんなことの繰り返しでした。
先日、久しぶりに小学校の教科書を見る機会がありました。
私たちが使っていた頃と比べるとだいぶ薄くなっていましたが、当時載っていた内容がいくらか残っていました。
また、私たちが習っていた時の内容とは少し変えられて教えられているものもありました。
最近は、雑貨屋等でビーカーやフラスコが売られているのを見かけますが、当時使っていた実験道具や教材を日常生活では見ることがなくなると、覚えていたはずの名称も忘れてしまっていたりします。
けれども、その一つ一つが教科書のページをめくっているうちに、また改めて目に入ってきたりすると、懐かしかったり、嬉しかったりしました。
私は、科目の中では算数が一番苦手でした。
授業でソロバンを習う頃にソロバン教室に通いましたが、ようやく慣れ親しんだ頃にはとっくに授業でのソロバンは終わり、それ以降ソロバンを使って学習する授業はもうありませんでした。
苦手な科目の試験の時は大変です。
問題を何度読んでみても頭に入ってきません。
算数のテストの時は、必死に数字ばかりを目で追って、時には文章問題の数字の部分に線を引いて考え込むこともありました。
先日、姉からおもしろい算数の問題が送られてきました。
『3人が乗れるバスが7台だと、全部で何人がバスに乗れるでしょうか』
という内容です。
この設問を冷静に読んでみると、バスには3人しか乗れなくて、それを7台も使って21人となると、現実的に考えたら21人を乗せるには1台で十分なはずなのに、3人しか乗れないバスを7台も使うということが、すごくおもしろいなと思いました。
きっと、この問題を出される学年で、私が解かなければならない状況にあったとしたら、一生懸命に数字にかじりついて、線を引いてみたりして、何とか答えを導き出すことに専念するばかりで、問題の面白さには気付かないまま式と答えを書いて終わっていたと思います。
試験がある度、いつもどうにかして解答欄に空欄を作らないように…と、「早く解き終えたい」という気持ちでいっぱいだったのですが、もしかすると、私が子どもの頃にも、余裕をもって読んでいたら、「おもしろい」と思えるような設問もいくつかあったのかもしれません。
久しぶりに手にした教科書を見ながら、自分の学生生活をふりかえったことでした。