次に、生きがいとは何だろうということですれけれども、施設の中で職員さんたちを集めて、「皆さんにとっての生きがいとは何か」とグループ討議をしたことがあったんです。
そうすると「家族が生きがいです」「仕事が生きがいです」「趣味が生きがいです」など、具体的なもので生きがいを挙げられる人が多かったのです。
そこで家族が生きがいといわれた方に聞きました。
「家族の方が病気にかかられていても生きがいと感じられますか」とね。
そしたら、「家族が健康でいられるから生きがいなのだ」と答えられたんです。
また、趣味が生きがいの方は趣味を続けていくことの満足感が生きがいだというわけです。
仕事が生きがいだという方は、達成感、充実感を求めていると言うのです。
それを考えていきますと物事ではなくて、そこから得られる「プラスの感情」これが生きがいなんです。
だから、何で生きがいを感じるかは、一人ひとりみんな違うわけです。
だから、生きがいは与えられるものではなくて、一人ひとりが自分で見つけるものですね。
これも老人ホームでの私の体験談なんですが、お年寄りは寝たきりになってしまいますと何もやることがないと思ってしまい、人に迷惑をかけるぐらいなら死にたいとおっしゃる方が結構いらっしゃるんですね。
私は、自分がその人のために一生懸命介護させていただいているのに、死にたいと言われるのがとっても残念だったんです。
それであるとき、その死にたいとおっしゃる方にこうお話ししたんです。
「そんなことおっしゃらないでください。私が少しお世話をさせていただくだけで、ありがとうといってくださるじゃないですか。そのひと言でどれだけ職員が勇気づけられていることか。これからもありがとうと言い続けてください。あなたの役割は私たちにありがとうといってくださることなんです」
そしたら、「そんなことでいいんですか」と言ってくださいました。
そして、その方は「死にたい」とおっしゃらなくなりました。
この役割があるということ、小さなことでも、それが大切なことなんです。
よく寝る前にうまくいかなかったことばかり考える、考えなくてもいいことばかり考えて眠れなくなる方がおられます。
でも一番不幸なことは、明日起きてやることがないことです。
それを考えたらうまくいっていないことがあることを喜んでください。
今日出来ていないことを、明日やろうと思って寝るだけで、明日やることが出来るんです。
その幸せをかみしめていただきたいと思います。