「報恩講」(ほうおんこう)とは、何のことですか?

私がお預かりしているお寺では、ご法事のほとんどが、お寺で勤められます。ですので普段はご門徒の家にお参りに行く機会はほとんどありません。しかしながら、年に1回だけ御門徒の家を一軒いっけんお参りさせていただく時があります。それが、各家庭の「報恩講」であります。

「報恩講」は浄土真宗をお開きくださった宗祖親鸞聖人さまのご苦労を偲ぶ浄土真宗の法要でもっとも大切な法要です。浄土真宗の教えをいただく我々は、親鸞聖人さまのご恩に感謝し、親鸞聖人がお示し下さった阿弥陀如来さまのご本願を仰いでお念仏申す人生を歩ませて頂くのです。それゆえに「報恩講」は私たちにとって何よりも大切な尊いご縁となる法要なのです。

京都のご本山では、親鸞聖人さまの御正忌(祥月命日)である1月16日に合わせて、1月9日から1月16日までの七昼夜にわたって法要が勤められます。御正忌につとまることから「御正忌報恩講」(ごしょうきほうおんこう)といい、「御七昼夜」(おしつちゅうや)とも呼ばれます。

また全国の浄土真宗の各寺や各家庭においては、ご本山の法要に先立って、年内に勤める場合が多いようです。それを「お取り越し」とか「お引き上げ」と呼んでいます。

この報恩講の時のお荘厳(お仏壇のお飾り)は、各寺や各家庭において、もっとも丁寧に行います。お寺や家庭によっては、法要が終わった後、精進料理のお斎(とき)がふるまわれるところもあります。

親鸞聖人さまのご苦労に感謝申し上げるとともに、そのみ教えを依り所としてよろこばれてきたご先祖の方々に思いをいたし、そして私達自身がこの「報恩講」のご縁にあってみ教えをいただいていくことが親鸞聖人そしてご先祖の方々の思いに応えていくことだと思うことです。