『どうして仏壇が必要なの?』

「仏壇がなぜ必要なのか」という質問に答えることは「仏壇とは何か」という問いに答えることと同じことだといえるようです。

では、お仏壇とはいったい何かと言いますと、文字通り”仏さまをご安置する壇”です。

この場合、仏さまというのは亡くなられた方々をさすのではなく、浄土真宗のご本尊である南無阿弥陀仏(阿弥陀如来)を意味しています。

南無阿弥陀仏という仏さまは、私のありのまますべてを受け止めてくださる仏さまです。

ちょっとしたことで悩んだり、ささいなことにこだわったり…、時には自分のあるべき姿を見失ったりする私を、いつも救いの目当てとして願いあたたかく包み込んでいて下さいます。

そして、いつも変わることのない大いなるいのちのはたらきの中に包まれる安心、生きる勇気と安らぎをもたらして下さる、そんな仏さまです。

お仏壇を安置するということは、その仏さまを家庭の中にお迎えするということです。

お仏壇はお寺の内陣と同様に、南無阿弥陀仏の世界(浄土)を象徴的に表しています。

各ご家庭のお仏壇はお寺の内陣の出張所のようなものですから、お仏壇を迎えるということは、大いなるいのちのふるさとを表現した場所を家庭の中にも設けたということを意味します。

また、仏さまを家庭に迎えるということは、家庭の中に礼拝の場所ができるということですから、家族一人一人が心のよりどころとなる場所、私のいのちに出会う場所を迎えるということにもなります。

家族そろって仏さまに手を合わせるということは、必ずや心豊かな家庭生活を築くことにつながります。

「心の時代」だと言われている現代にこそ、大切な習慣なのではないでしょうか。

お仏壇は決して死者のためにあるのではありません。

まだお迎えでない方は、どうぞご家庭に心のよりどころとなる仏さまの安置場所としてお迎え下さい。

(参考文献)

1)『仏事のイロハ』末本弘然著(本願寺出版社)

2)『門徒もの知り帳(上・下)』野々村智剣著(法蔵館)

3)『真宗事物の解説』西原芳俊著(ピタカ)