お寺と聞いて、まずどのような印象を思い浮かべますか。
法事をするところ、お参りするところ、お坊さん。
あるいは京都や奈良といった古都に建つ有名な寺院を思い浮かべる方も多いと思います。
いずれにしてもお寺は、御本尊を安置する本堂を中心に、それぞれの教えや信仰に基づいて生きる人々の拠り所となる場所がお寺、寺院と呼ばれる場所です。
また、日本の多くのお寺はご門徒さんや檀家さんに支えられ、そして護持されておりますので、言い換えると皆さんのお寺、私たちのお寺、あなたのお寺であるとも言えます。
生きていく中では本当に色々なことがあります。
喜びも悲しみも、悩みを抱えたり、涙が止まらなかったり。
まさに喜怒哀楽を繰り返しながら人生は展開されていきます。
人知れず泣きたいとき、自分と向き合いたいとき、誰かに話を聞いてほしいとき、
私は皆さんのお寺をお預かりする一住職として、お寺もそういう場所であっていいと願っています。
法事や法要、儀式を勤めるお寺としての姿はもちろんですが、多くの方々が本堂に座り、仏様と向き合い、気持ちの変化や心が落ちついたり、ホッとできたり、もっともっとより多くの方に開かれたお寺であるべきだと思っています。
あなたの全てをそのまま受け止め、抱きかかえてくださる仏様の大きな大きなお慈悲の心を、お寺はその実践の場として皆さまを迎え、私たち僧侶もまた、皆さまの気持ちを大切に聞かせていただくことを大事な務めとしています。
日常を離れて、本堂という空間に少し身を委ね、生き方を仏教に問い、仏様を鏡として自分の内面を見つめ、心を整えていく時間はとても素敵な機会だと思います。
私なりに「お寺」とはどのようなところですかとお伝えするとするなら、
それは、泣いてもいい場所、笑ってもいい場所、そのままのあなたでいていい場所。
気軽にいつでも、本堂にお座りくださいね。