お骨を故郷のお墓に分けて納骨してもいいですか

故郷を離れて生活している方で、お正月やお盆やご法事等の機会には喜んで故郷に帰ってきたりと故郷に対して特別の深い愛着を感じておられる方が多くいらっしゃいます。

台風が接近したり、過ぎ去った後等には被害はなかったかといつも連絡をくれる親戚の方もおられます。小さい時から生まれ育った故郷というのは故郷を離れて生活されている方々にとっては心の支えになる場所だと思うのです。

少し前のことになりますが、私の住んでいる地域の出身の方で、結婚されて県外で生活されている女性の方がおられました。その女性のお母さんが入院することになって、病院でのお母さんのお世話のために頻繁に実家に帰ってこられておりました。しかしながらお世話のかいもなくしばらくしてお母さんはお浄土へ往生されました。その方のお母さんはよくお寺にお参りをされる方でお念仏を大切にされる笑顔の素敵な方でありました。そのお念仏申し、お寺によくお参りしていたお母さんの後ろ姿を見て育ったご縁でしょうか、娘さんも実家に帰ってきたときにはよくお寺にお参りをしてくださいました。これからもお寺とのご縁が続いてもらえればありがたいなあと思ったことでした。

しかしながら、大変元気で明るいその方が、お母さんが往生されてから数年後に病気で若くしてお浄土に往生されました。突然のことでビックリしたことを思い出します。

その後ご主人から相談があり、「妻は、田舎のことが大好きで私が亡くなったらお母さんのお骨が納骨されている田舎のお寺の納骨堂に納めて欲しい」と生前頼まれていたそうです。だからその願いを叶えるためにぜひ納骨堂に納骨させてほしいとのことでした。納骨堂を承継しているご兄弟もその意をくんでくださり無事納骨することが出来ました。妻の願いを叶えることができご主人もほっとされたことと思います。

「性の違う故人の遺骨は入れてはいけない」など聞くことがありますが、そうしたことは全く気にすることはないのです。故人の思いを大切にされ、残る人がよく話し合った上で納骨していただければと思うことです。納骨に際してわからないことがあれば所属のお寺の住職にご相談ください。