仏前にお供えするお花を仏花(ぶっか)と言います。
お仏飯やお灯明等と同じように、仏さまの徳を讃え、阿弥陀如来様の世界(お浄土)を表現するお荘厳(しょうごん)の一つです。
法事などでお参りしていると、
「お仏壇の花は仏さまにお供えするのに、なぜこちらに向けて飾るのですか?」
と質問を受けることがあります。
なぜでしょうか。
仏花は、阿弥陀如来の慈悲の働きを表現しています。
きれいな花を見て腹を立てたり不機嫌になったりする人がいるでしょうか。
逆に私たちを優しい気持ちにしたり、悲しみを癒したりしてくれるものです。
また仏花には生花を用いますが、花瓶(かひん)の水に養われながら限りあるいのちを輝かせている花の姿は、無常なるいのちの表現でもあるといえましょう。
このように、仏花は仏さまの慈悲の働きを表現し、また無常なるいのちの姿を表現しています。
これらは仏さまに差し向けるものではなく、仏さまが私たちに働いて下さっている様を表現しています。
ですから、仏さまに向けるのではなく、私たちの方に向けて供えるのです。
お荘厳は、清浄なる仏さまの国(浄土)を表現して飾り仏さまの徳を讃えること。
手を合わせる私たちが、仏さまの働きに出会わせて頂くこと、この二つがその心だといえます。