「これは、おめずらしい」 と、その人はいった。 範宴は、橋の…
雨に洗われた路面は泥濘(でいねい)を流して白い小石が光ってい…
ふかい樹(こ)立(だち)が静寂(しじま)の闇と漆(うるし)を…
「尋有っ」 眼の前に伸ばしてきた範宴の手へ、尋有は、両手です…
その晩、尋有は先に臥床を出て、大乗院の外に忍んでいた。 ぽつ…
眼をとじてもいつまでも眠りに入れない尋有であった。 兄は自分…