「暮らしに生かす天気予報」(中旬)桜島を見ると…

外を見て天気を予想するということでは、鹿児島市には、目の前に本当に役に立つ山があります。

それは桜島です。

桜島は鹿児島のまん中にあり、邪魔する山がほかにありませんから、どこからの風もうまく当ってくるんですね。

そうしますと、桜島にかかる雲の様子で、結構天気の状況が見えてきます。

桜島の一番高いところが千百メートルぐらいで、その辺りはあんまり地形の影響を受けない空気の流れを表していますので、代表的な風として見ることができるんです。

したがって桜島にかかる雲がどっちの方向から来ているかということが分かりますし、雲の高さや変化もわかります。

厚みも結構分かりますね。

ただ空を見上げただけでは天気の状況は分かりませんけど、桜島を見るとかなり分かってきます。

例えば、桜島にかかる雲が南から北へ動くとか、あるいは東から西のほうへ動く、これは通常と違う動きなんです。

そういうときは、テレビなどで天気図を見ていただきますと、前線が鹿児島の南海上にあったり、あるいはこれから鹿児島にやって来る低気圧が東シナ海にあったりと、風の状況と雲の動きが合っているんですね。

上空の風の動きを自分の目で確かめることができると、これはしめたもので、一日の天気の変化を自分で読めることになります。

私が自宅から会社へ車で通勤するとき、ちょうど陸橋を通るのですが、そこで渋滞すると「しめた」と思うんです。

そこは結構周りがよく見えて、後の山や前の山をずっと見渡し、雲の様子を見て、今日の天気はこんな感じかなと読むことができます。

一回私がこのことを紹介しましたら、小学校六年生の子が夏休みの宿題に取り上げて、あるコンクールで一等賞をもらっていました。

小学生でも、夏の間の天気と雲の関係を調べると、自分なりにいろんな判断ができるということですね。

もともと私たちの体には天気を感じる仕組みがあるんです。

けれども、それを今忘れています。

ただ、忘れてはいますが、訓練をすることでその感を取り戻すことはできると思います。

よく若い人が暑いのにすごい厚着をしているんです。

普通は、暑い日は薄着をしたり服を脱いだりしますが、若い人は流行だけにとらわれて厚着をしてるんですね。

本来、人間の体というのは季節に応じて体自身も変化しておりますし、それを補う意味で衣服を着るわけですから、そのあたりも考える必要があると思います。