秋彼岸 いのちの灯が相続されていく

今から遡ること46億年前に地球が出来たと言われます。その後に海ができて、45億年前に最初の単細胞生物が生まれたと言われます。それから45億年をかけて今私がここに人として生きています。

今のところ、その単細胞生物が枝分かれしながら進化して人間になっていったとされています。そうであるならば、この世界に最初の生命が誕生して、私が生まれるまでに一体どれだけの命が繋がってきたのだろうかと不思議な気持ちになります。何億、何兆、いやもっと多くの命が私が生まれるためにいのちを繋いでくれたと言って間違いではないかと思います。

お彼岸は、パーラミター(彼岸に到達する)という言葉がもとになったものです。彼岸とは、彼の岸=お浄土を意味します。春と秋の春分・秋分の日を挟んで一週間がそれにあたります。

仏説阿弥陀経には「これより西の方十万億の仏国土を過ぎて世界あり、名づけて極楽という」と、浄土の方角を西方にあると説かれています。

童謡に「夕焼け小焼けで日が暮れて 山のお寺の鐘が鳴る おてて繋いでみな帰ろう カラスと一緒に帰りましょ」と、歌われています。夕方になると西の方に日が沈み、カラスも私たちもそれぞれ家路に着くという情景を歌ったものです。

日の沈む西の方は、一日を終えて家路に着く、帰って行くところを意味しています。西方浄土は、いのちの帰するところ。浄土に往き生まれた懐かしい方々が、仏となって私にはたらき、私が到彼岸するのを待っていて下さるいのちの世界です。

多くのお寺で彼岸会の法要がつとまっています。お彼岸を縁として、私にいのちを繋いでくださった人々へ感謝の思いを胸に、お聴聞していきたいものです。