聴聞 ひたすら道を聞き開く

聴聞とは何か、仏法を聞くことです。浄土真宗ではこの聴聞をとても大切にします。なぜかというと、聴聞がそのまま私の信心になると言われているからです。聞くことが信心になると言われても、あまりピンと来ないかもしれません。しかし、この聞くという事の大切さを味わえるお話を聞かせて頂いたので紹介させて頂きます。

お笑いコンビのANZEN漫才に宮園大耕さんという方がいらっしゃいます。「みやぞん」という愛称で呼ばれテレビにもよく出られていますので、ご存じの方も多いのではないかと思います。いつも笑顔でたくさんの人を和ませてくれる方ですが、その背景には母親である宮園春奈さんの存在が大きいと言います。

宮園さんの家庭は複雑だと言います。全部で5人の子どもがおりますが、長女・次女の父親、三女・四女の父親、末っ子の大耕(みやぞん)さんの父親はそれぞれ違うと言います。春奈さんは3度の離婚を経験しており、いろいろあって最終的にこの5人の子ども達と生活することになります。いわゆる母子家庭です。母親1人で5人の子どもを育てるのは、とても大変なことだったと思います、しかし、春奈お母さんはまったくへこたれてなかったと言います。いつも明るく前向きに子ども達と向き合っていたといいます。

大耕さんが国語で0点を取った時も「0点、大丈夫!元気で楽しく生きてくれればそれだけでいいんだからね!」と怒られるどころか励まされたと言います。また、高校の部活で野球のユニフォーム代がかかる時も「大丈夫!プラッチコウ!」(※プラッチコウとはプラス思考の略語のようです)と大事な指輪を質に入れて、ユニフォームを買ってくれたそうです。大耕さんは自分の為にいつも一生懸命な母親の気持ちがうれしく、その気持ちを今も大切にしており、いつか質に入れた指輪も取り戻し、本人に返したいと言います。

『とにかく明るく楽しく生きてほしい』春奈お母さんが大切にしてきた事だと言います。決して裕福ではない家庭の中でもアイディアと工夫、そして、大きな言葉によって子ども達を育ててきたことが伺えます。今のお笑い芸人・宮園大耕(みやぞん)さんはこのお母さんの大きな言葉によって生み出されたのではないかと思わされます。

仏教で大切なのは聴聞だと言います。聴聞とは聞くことです。一体何を聞くのでしょうか、それは大きな言葉だと思います。大きな言葉とは「あなたが大切ですよ」「あなたはあなたで良いんだよ」と存在そのものを認めてくれる言葉ではないかと思います。そして、その言葉は聞いたその人を支える大きなはたらきになってくれるのではないかと思わされます。

聴聞という事を通して、私たちも日々たくさんの言葉を聞いているのではないかと思います。家庭、仕事場、学校もそうですが、テレビ、ラジオ、インターネットなど色んなものを通して言葉に触れる時代だと思います。その中でどんな言葉を聞くのか、私の中に入れていくのか、それはとても大切な問題ではないかと思います。自分を認め、そして育んでくれる言葉、私の人生をもっとも底から支えてくれる仏様の言葉をこれからご一緒にお聞かせにあずかれば大変に有り難いことではないかと思います。