『深い闇を抱えながら 光を仰いで生きる』

 太陽の光は誰の上にも平等に降り注ぎます。

どんなに厚い雲の層であっても、私たちの身の回りが暗闇になることはありません。

電気の明かりもローソクの灯りでも、全てのものはまず光によって照らし出されることで、初めて私たちの眼で見ることが出来ます。

 一方では、船乗りさん達は、月明かりや灯台の灯りを頼りとし、目当てとします。

暗闇の大海原の中では、灯りこそがただ一つの進むべき道となるのです。

私たちの生活においても、人生の「道しるべ」となるべき光を仰ぐということは大切なことだといえます。

 カーテンの隙間から差し込む一筋の光の帯の中に、無数のチリやホコリがくっきりと照らし出される光景をご覧になったことがあると思います。

普段は、チリ・ホコリにはなかなか気付き得ないものですが、一筋の光によってその存在を知らされるのです。

 今もちょうど、太陽の光が世の中を照らしだすように、仏さまの光は私の心を明るくなるように照らしていて下さいます。

けれども、私たちは闇を闇とはなかなか気付くことが出来ません。

まず闇を知るところに、光を仰ぐ生き方の第一歩があるように思われます。