「殺生」

 一般に「殺生」とは、むごいこと、残酷なこと、またそのさまを言います。

 「殺生」の原義は、仏教語で生き物を殺すことです。

仏教では、殺生は十悪の一つで、出家者はもちろん、在家の信者たちが日常的な習慣として身につけるべき五戒(不殺生戒・不偸盗戒・不邪淫戒・不妄語戒・不飲酒戒)の筆頭にもあげられています。

 経典には

「生きとし生けるものは、すべて自らのいのちを愛して生きている」

と述べられていますが、人間だけが

「殺す」

ということを知っており、しかも自覚的に殺しています。

「罪悪深重」

私はこんにちまで 

海の 大地の 

無数の生きものを食べてきた 

私の罪の深さは

底しれず

という詩がありますが、「殺」を生きることが私の現実であることの自覚に立って、そのことをいかなる意味においても正当化することなく、私のために捧げられたいのちを無駄にしない生き方を求めることが大切なのではないでしょうか。