法事を執り行う時、気にかかることの一つに正座があげられると思います。
私が法事に参らせていただく時にも、よく話題にのぼるのが正座の話です。
「正座ができないから後ろに座る」
「正座がつらい」
など、ご門徒の心配はつきません。
では、そもそもお参りの時の正座とは絶対なのでしょうか?
浄土真宗での正座とは、元来修行のためにするものではありません。
正座とは、読んで字のごとく
「礼を尽くす作法(座り方)」
ですから、仏さまを敬うことがその目的です。
したがって、出来れば、やはり本来は正座をしてお参りされることが望ましいでしょう。
しかしながら、どうしても正座がきつくて、そのためにお聴聞がおろそかになってしまったのでは意味がありません。
足がしびれたり、痛かったりするような場合には、足を崩されることもやむを得ないと思われます。
ただしその場合、足を仏さまの方へ投げ出したり、立て膝をつくなど、仏さまに対して失礼な態度は謹みましょう。
ご法事では、何よりも仏さまを敬う気持ちが肝要です。
今では、足の痛いお年寄りの方や、星座の苦手な若い方々に配慮して、本堂にイスを用意されているお寺も多くあります。
伝統的な正座のスタイルだけにとらわれることなく、仏さまを敬い、何よりもお聴聞に勤(いそ)しまれることをお願いいたします。