ある日、お参り先で一冊の本をいただきました。
手にした途端、私の目に飛び込んできたのは、真白な表紙に墨字で書かれた
「あなたへ」
の文字。
医師であったご主人が、自らの闘病を日記形式で綴られたその本の巻頭には、亡きご主人へのメッセージが添えられていました。
まず、そのメッセージをご紹介します。
「もしも、誰かが私の願いを叶えてくれるなら、私はあなたに携帯電話を届けて欲しい。
そしてもう苦しくないですか?…って聞くのです。
そして次は、あなたはよく頑張ったわね。
でも、あなたのことをわかってあげられなくて、ごめんなさい。
私はあなたの辛さをわかっていたつもりだったけれど、本当は何もわかっていなかったと、今思います。
ごめんなさい。
頑張って、頑張って生きてねという代わりに、辛いね、辛いねと言ってあなたを抱きしめてあげればよかった。
ただされだけでよかったのですよね。
いつもそばにいたのに、どうして分からなかったのでしょう。
本当にごめんなさい…」
仏さまのお心は、一切を否定しないで、全てをありのままに受け入れる心であると言われます。
「あなたはあなたのままで、そのままでいいよ。
頑張らなくてもいいよ」
と、いつでもどこでも私の中で、終始より添っていて下さるのが南無阿弥陀仏の仏さまのお心です。
時には、
「頑張れ」
の励ましの言葉も必要かもしれません。
でも
「つらいね」
「悲しいね」
「しんどいね」
と、ありのまま共感してもらえる世界があることに、
「いのちの絆」
を知らされたことです。