近年では、マンション住宅などを中心に「仏間」を設置しない住居が増えてきました。
しかし、近世までは、どこの家庭にも仏間が見られ仏さまをご安置し、家族の礼拝の場として利用されていました。
それが、住宅事情の変化により、わざわざ仏さま専用の部屋を設けるのはもったいないという発想につながったのでしょう。
確かに、建築用語では
「住居の中で仏壇のある部屋。日本家屋では冠婚葬祭での表口となる縁側に近い畳の間となることが多い。現在の住居では、その名残で玄関近くに設けられる。」
とあるように仏さま(お仏壇)を安置する部屋であるが故に多くの人を招く場所でもあるため玄関近くに設けられるものなのです。
みなさまも、ふと思い浮かべてみられると仏間のあるご自宅は、その多くが玄関近くに設けられていることが多いことに気づかれる事でしょう。
これは言い換えるならば玄関から多くの方が仏さまに手を合せに来やすいように玄関近くに設けられているということなのです。
ですので、本来は仏間とは、仏さまをご安置する場所であるとともに、家族以外の人も招いて仏事(法事)を行う場所と言えるのです。
しかし、そうは言っても家族によって使用される以外には、月に数回、場合によっては年に数回しか利用されない部屋だとも言えるのです。
そうであるならば、タンス置や寝室に利用しようと考える人がいても不思議ではありません。
しかし、どうでしょう?お寺の本堂を思い浮かべてみてください。
本堂は、大概ふつうの民家より大きな作りとなっています。
しかし、そこをタンス置や寝室、もしくは生活の場として使っているお寺はないのではないでしょうか。
余程の理由がある場合、そのような使い方をしておられるお寺もあるかもしれませんが、基本、本堂とは仏さまと向き合う場なのです。
ですので、みなさまのご自宅の仏間も基本的には仏さまと向かい合う場であるとご理解頂ければいいと思います。
その上で、どのように利用されるかは、みなさま方のお考えによるところです。
仏さまと共に眠りたいと思われれば、仏間で寝られても結構でしょうし、仏さまと共に食事をされたいと思われるならばリビングとして利用されてもいいと思います。
但し、いかなる場合においても仏さまが中心におられるということは忘れないで頂きたい。
そう願うばかりです。