「地獄」とは、どのような世界なのですか?

皆さんは『地獄』という世界にどのようなイメージをもたれているでしょうか。

悪いことをしたら地獄に落ちる、と小さい頃から教えられたあるいは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

ただ、実際には地獄がどのような世界であるか、ということは具体的にはご存じない方も多いのではないかと思います。

浄土真宗の七高僧のお一人である『源信和尚』の『往生要集』には地獄というものがこのように書かれております。

『一は等活(とうかつ)、二は黒縄(こくじょう)、三は衆合(しゅごう)、四は叫喚(きょうかん)、五は大叫喚(だいきょうかん)、六は焦熱(しょうねつ)、七は大焦熱(だいしょうねつ)、八は無間(むけん)なり』

これが『八大地獄』といわれる地獄で、罪の重さで行く場所が異なるといわれています。

?等活(とうかつ)地獄

殺生をしたものが堕ちる地獄で、罪人は互いに害心を抱き、鉄の爪で互いが骨になるまで争い、天からの声により体が元に戻り、再び苦痛を受ける、といわれる。

?黒縄(こくじょう)地獄

殺生と盗みをはたらいた者が堕ちる地獄で、熱した縄で印をつけ、そこに沿って斧やのこぎりで体を割かれる。

また、熱した鉄のような網に入れられ焼かれる。

熱した釜に落とされることもある。

等活地獄の十倍の苦しみがあり、等活地獄同様、生き返り、また苦痛を受ける、といわれる。

?衆合(しゅごう)地獄

殺生と盗み、邪な性の交わりをはたらいた者が堕ちる地獄で、二つの鉄の山の間に入らされ、鉄の山に挟まれて体が粉々になる。

また、鉄の臼にいれられ、鉄の杵で突かれる者もいる。

他に、川の中に熱い赤銅の汁があり、罪人はそこに漂う事になる。

罪人たちが寄り添って嘆いても救いはない。

また、葉が刃のような木の上に美女がおり、求めるまま、木を上ると刃のような葉に全身を切り刻まれる。

やっとの思いで、木の上に辿り着けば、美女はおらず、今度は木の根元に立っている。

また、美女を追うべく、木から下りると再び、刃のような葉で全身を切り刻まれる、といわれている。

?叫喚(きょうかん)地獄

殺生、盗み、邪淫に加え、酒を飲むものが堕ちる地獄。

罪人は、獄卒という鬼によって、熱鉄の上を走らさせられたり、熱した釜で煮られる。

また、炎の鉄の部屋に放り込まれたり、口を無理やり開けられ、煮えたぎる銅を呑まされ、五臓を焼かれる、といわれる。

?大叫喚(だいきょうかん)地獄

自己中心的で、自分勝手な嘘をつくものが堕ちる地獄。

叫喚地獄と同じだが、苦しみは10倍であるといわれる。

?焦熱(しょうねつ)地獄

殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語に加え、邪見のものが堕ちる地獄。

罪人たちは熱鉄の上に横にならされ、同じく熱鉄の棒で叩かれ、肉団子のようになる。

また鉄の鍋の上で焼かれてしまう。

この地獄の炎に比べると、前までの地獄の火は雪のように感じるといわれる。

?大焦熱(だいしょうねつ)地獄

殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語、邪見に加え、浄戒の尼をたぶらかしたり、汚したものが堕ちる地獄。

焦熱地獄と同じだが、苦しみは10倍であるといわれる。

?阿鼻(あび)地獄 ※漢訳で無間(むけん)地獄という

一切が火炎に覆われ、全ての方向、全ての空間に隙間がない。

大地には罪人で満ちている。

戻るところはなく、同伴の者ない。

孤独である。

日、月、星さえ見えない。

阿鼻地獄に堕ちる際は、足を上に頭を下にし、二千年の間落下し、辿り着くという。

七重の鉄の城、七層の鉄の網があり、十八の壁があり、その周囲には刀林がある。

四方には、四体の銅の狗(いぬ)がいる。

背丈288kmあり、鋭い牙と雷のような目を持ち、毛穴から炎を生じている。

その煙の臭いは例えようがない悪臭である。

18の獄卒(地獄の鬼)がいる。

64の目を持ち、28.8kmの牙を持ち、その先から炎を生じ、阿鼻城を覆っている。

頭に八の牛頭があり、それぞれの牛頭に18の角があり、炎を出している。

七重の城の中に七つの鉄の支柱があり、泉のように炎がわき、城の中を炎で満たしている。

8万4千の鉄の大蛇がおり、毒や火を吐き、鉄の雨を降らす。

また、500億の虫がおり、8万4千のくちばしがあり、炎を生ずる。

無間とは、苦しみのない時間が無いという意味です。

五逆罪(父を殺す、母を殺す、聖者を殺す、仏の体を傷つける、集団の和を乱し、分裂させる)をつくり、因果を否定し、大乗を謗り、四重戒(淫、盗、殺人、大妄語)を破り、嘘で在家信者の施物を受けたものがこの地獄に堕ちる地獄。

途中から、書いているだけでゾッとするような地獄の紹介でした。

地獄に堕ちるしかない私たち衆生を必ずすくいとってくださる、お念仏のみ教えに照らされながら、日々を精一杯大切にすごしたいものです。