「家族葬」と聞いたのですが、お参りしてもよいのでしょうか。

近年、家族葬という言葉を非常に多く耳にするようになりました。

その傾向として、家族、親族のみの少人数で執り行う場合や、葬儀費用をなるべく押さえた形で行いたいなど、それぞれの事情によって形態は様々です。

また、残された家族や子どもたちへ少しでも負担や不安を和らげたいという故人の願いも家族葬を選ばれる理由の一つとしてあるようですし、身寄りのない方、生活保護を受給されていた方など、「家族葬」という言葉の背景にも様々な場面があります。

ですので、一概に近親者のみというものでもありませんが、やはり葬儀に対する費用的な負担というのが、家族葬が選ばれる大きな理由としてあるようです。

さて今回の問いについてですが、家族葬と聞けば、どうしても近親者のみという印象が強いですので、参列してよいものか躊躇してしまいますよね。

けれども、故人とのお付き合いがあり、大変お世話になったり、永年親しかった友人や、あるいは同級生だったり、最後にせめて一目だけでも今生最後のお別れがしたい、有難うございましたとお礼が言いたいという心情はごく自然なことです。

ましてや、亡くなったことを後で聞かされることほど辛いものはありません。

本来葬儀とは、大切な人を失う悲しみや、命の終わりに立ち会う中で、そこに集う私たちが、限りある命の事実に目覚め、別れを通じて学び、仏縁を深めさせていただく場であると言えます。

別れこそ気付きの場であり、出会いの場であります。

冒頭で触れましたように、一口に家族葬といってもその形態は様々です。

そのように選んだご遺族の方にも、様々な理由があってのことと思います。

そのことへの配慮も大切にしながら、お参りされてはいかがでしょうか。