お通夜の時は線香を絶やしてはいけないのですか?

 線香は阿弥陀様への感謝の気持ちを表すお供え物ですから、長い時間その香りをお供えさせていただくことは良いことです。

 しかし、お通夜の席で一晩中線香を絶やさないといわれる主な理由は、「亡くなられた方が良いところへ行くように、迷わないように、亡くなられた方のために香を供えるのだ。」という理由が多いように見受けられます。

もし、そのような意味合いで、線香を一晩中お供えするのでしたら、その必要はありません。

浄土真宗に於いては、残された私たちが後々、亡くなられた方のために善を追加する「追善供養」は力をもちません。

お念仏喜ばれたご先祖方は、唯々、阿弥陀様の一人働きでお浄土に参られたと頂きますので私たちが追善供養する必要はありません。

 阿弥陀様への感謝の心から線香に火を付け、お供えさせていただくのですが、香ってくるあの香りはお浄土の香りと頂きます。

仏説無量寿経にも「お浄土にある池の岸には栴檀の樹々があって、花や葉をたれて良い香りをあたり一面に漂わせている。」とあるようにお浄土のようすを香で表現される御文がいくつかあります。

 お通夜の席で、一番大切な事はできるだけ長い時間亡き方の側にいて「あんな事もあったね。

こんなこともあったね。」と語らう時間ではないかなと思います。

その時にはどうぞ線香を阿弥陀様に供えられてください。

その香りは、大切な方が参られてゆかれたお浄土の香りです。

お通夜の席で香を絶やしたらいけないということではありませんが、できるだけ長い時間、線香を供えてお浄土の香りに包まれながら、亡き方との語らいの時間を大切にされていただければと思います。