レトロな品物を扱うお店

私は、友人とゆっくり時間をかけて出かけた時に、よくレトロなもののあるお見せに立ち寄ります。

レトロな品物を扱うお店の中でも、昭和のキャラクターやおもちゃのお店を探して歩きます。

小さな頃に見ていたキャラクターやおもちゃの食器、付録等がいっぱい並んでいますが、当時売られて値段からすると、どれも何倍にもなっています。

私が幼いとき持っていた水筒は、水を入れるところがやや台形のような形をしていて、そこにアニメの絵が描かれていて、その真ん中の上の部分にキャップと小さなコップがついているものでした。

それもいつの間にか見かけなくなっていましたが、レトロショプにはそれが1つ2つ置いてあって、見る度になつかしくなります。

先日立ち寄ったお店の人が、興味深いことを教えてくれました。

「日本のおもちゃは、とても細やかに作ってあるので、超合金のロボットのおもちゃ等が外国の美術館に美術品として飾られている」のだそうです。

また、発売当時おもちゃは、現在中身のおもちゃの保存状態も大切だけど、外装の箱があるかないかも大切で、ある人の言えから中身が入っていない箱だけが出てきたのだそうです。

その人は、その箱をダメもとでオークションに出品したところ、最後に落札された値段は20万円を越えていたそうです。

私が「箱だけあって、どうするんですか」とお店の人に尋ねると、「中身のおもちゃだけ手元にある人は、販売の形のまま完全な状態を求めているので、無関係な人にとってはただの箱でもその人にとっては大事な箱なんです。箱を手にすることによって、中身と合わせれば、求めていた完全な状態になるという訳です。」という答えで、とても驚きました。

私は今でも、何に対してもそうですが、まず外装を外すとそのまま捨ててしまいます。

ところが、今回、いつも無造作に捨てている物が、人によっては大切なものであり、時代を超えて、国を越えて求められているということを知りました。

そのことを通して、すべてのものが価値ある塊に思えました。

海外のから日本に来る人の中に、今セルロイドの商品を大量に買っていく人が多いのだそうです。

素材の作りや色・デザインが魅力的だからそうで、どんどん海外に流れているようです。

以前テレビで、日本の古美術品がたくさん海外に流出していて、現在それを多額のお金を出して買い戻して国内で保存しようとしているというドキュメンタリーを見たことがありました。

ある展示会では、海外に流出した美術品を借りてきて展示していたということもありましたが、日本のおもちゃでも古美術品と同じようなことがおこりつつあるそうです。

「オークション等で海外にどんどん出て行って、きっとこれからあと何十年も時が流れて行った時に、古美術品を買い戻しているのと同じようにおもちゃを買い戻す時代がくるかもしれませんね」と、お店の人が話していました。

聞かせてもらった話に、思いもよらないこと、改めて気付いたことがたくさんあって、私と友人はともて充実した思いでお店を後にしました。

小さな頃に遊んでいたおもちゃ、憧れて見ていたものが、時代が経つと遊ぶための、使うためのおもちゃではなく、飾るためのおもちゃに変質しているように思います。

でも、それを目にすると「懐かしいなあ」と、当時の自分の過ごしていた時間に戻れたり、忘れていてもまたよみがえってくる記憶によってリフレッシュできたりする自分がいます。

現在、過去の作品がリバイバルされたりして、たくさんのアニメを目にしたりすることができますが、レトロな品物には、その当時のものだからこその存在感が漂っているように思われます。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。