野球部

先月は甲子園で高校球児たちが熱い戦いを見せてくれました。

鹿児島実業は残念ながら一回戦で敗れてしまいましたが、その対戦相手の金足農業高校が決勝まで進み、大阪桐蔭高校と熱戦をくりひろげました。

中学一年の長男が今年の4月から野球部に入りました。

小学生から続けていた陸上を中学でも続けるものだと思っていた私と妻は、いきなりのことでびっくりしたことです。

他県に住む2歳上のいとこのお兄さんが野球部に入っていたこともあり、その楽しそうにしている様子をみて自分も野球をしてみたいと思ったようです。

野球部に入部すると聞いて、慌てて野球に必要な道具などを子どもと一緒に買いに行きました。

私自身は草野球の経験はありますが、本格的に野球をしたことがないので、店員さんに聞きながら必要なものを見て回りました。

バットひとつにしてもいろんな種類のバットがあり、中学生はどのバットがいいのかなどと質問しながら揃えたことです。

長男は小さいときに、たまに私とキャッチボールをしたことはありましたが、これまで野球の経験はありません。

しかし、先輩たちに丁寧に指導してもらい、本人も毎日一生懸命に野球にとりくんできました。

厳しい練習にもかかわらず、練習後生き生きとした表情で帰ってくる姿をみて、本当に楽しんで充実した毎日を送っているなあと嬉しく思ったことです。

最初、野球部に入るといった時には、正直「野球部かぁ…」という気持ちになりました。

陸上に入っているときは、それほど試合数もなく送迎も十分にできていました。

しかし野球部に入っている子どもたちの親御さんをみていると、土日はあちらこちらに試合等に出かけていたので「大変そうだなぁ」と思っていたからです。

また、お寺は特に土日が忙しいということもあり、十分な送迎ができるか心配にもなりました。

けれども、本人自らの意志で野球部に入り、とても充実して取り組んでいる姿をみると、「入って良かったなぁ」と思うようになりました。

試合のたびごとに各地に送迎するのは正直大変ですが、子どもが頑張っている姿を見ると、送迎の大変さもあまり気になりません。

おそらく、他の親御さんたちもそうした気持ちで応援されているんだろうなと、最近は思うようになりました。

長男はこの半年足らずの間に、野球部に入ってから監督さんの指導のもと、先輩たちと日々チームとして活動していく中で、協調性や他者に対する様々な気遣いやおもいやりの心が芽生えてきているように思われます。

また、次男に対して以前よりも優しく接してくれるようになったように感じます。

野球部は部員数が少ないため、公式戦には他の中学校との合同チームで出場します。

7月の大会からは3年生が抜けて、チーム全員で9名ということで、ギリギリで試合ができる状況です。

それゆえ、わずか入部3か月の時から試合に出るようになりました。

先月の試合では、同点のまま最終回を迎えたため、促進ルールにより互いに満塁の状態にしてから攻撃することになりました。

その場面で長男に打順が回ってきました。

まだ入部したばかりでなかなかヒットを打てないというもあり、ゲッツーになる可能性を考えて、監督から「バットを振るな」という指示が出ました。

指示通り、バットは振らなかったのですが、その試合には負けてしまいました。

試合後、監督から「バットを振るな」と指示されたことに対して、一応頭ではその意図を理解していたと思いますが、それが自分の実力不足に起因するものだけに悔し涙を流していました。

けれども、これから野球を続けていく上で、この悔し涙を決して忘れることなく、バネにして練習を頑張ってほしいものです。

後日、子どもから「バッティング用の網を準備してほしい」と頼まれて準備をしました。

今はその網に向かって、毎日バッティングの練習をするようになりました。

私も子どもの思いを知っているので、できる範囲で練習を手伝っています。

あの試合の後に流した悔し涙を、いつか喜びの涙に変えるべく頑張ってほしいものです。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。