子どもとのご縁作り

浄土真宗の寺院では、日曜学校、土曜学校などの名称で、小・中学生を集めて、一緒にお参りをしたり、子ども向けの法話をしたり、みんなでゲームを楽しんだりする子ども会活動を行っています。

その歴史は古く、明治13年(1880)年に始まった少年会・少女会にその淵源を見ることができるそうですから、既に140年近くになります。

その趣旨は「親鸞聖人の教義に基づいて浄土真宗本願寺派の少年教化のため活動を組織的に進めること」ですが、一般に「お寺の本堂は何となく入りづらい場所」というイメージを持たれがちであることから、子どもの頃からお寺に慣れ親しんでいると、そしてそこでの楽しい催しに参加したという記憶が残れば、大人になってから特に抵抗感を持つこともなく、気楽にお寺に足を運んでいただけるのではないかという、いわゆる「ご縁作り」といったことを大切にしています。

開催の仕方は、毎週、隔週、毎月、年に1回など、その寺院の都合によって様々です。

子どもの頃の記憶をたどると、私の寺院は年1回開催型で、夏休み中にサマースクールの名称で行われていたように思います。

ただ年1回の開催だったのですが、かなり多くの子どもたちが集まり、しかも1泊2日だったので、とても印象深い思い出として残っています。

これがいつから始まったかということはよく分らないのですが、開催されなくなったのは、おそらく私が小学5年生の頃だったのではないかと思います。

当時住職だった父が実施していたのですが、やはり1泊2日ということで、あれこれ負担が大きく、継続が難しくなったのかもしれません。

この子ども会活動が日曜学校として復活したのは、私が大学から家に帰った翌年です。

父から勧められて始めたのですが、個人的には当時は今ほど忙しくなかったこともあり、月2回のペースで行っていました。

日曜学校の名の通り、日曜日の午前10時半から1時間半。

内容は、最初の30分が「正信偈」のおつとめと仏教讃歌、次の30分が法話、最後の30分が保育園の職員にゲームを担当してもらっていました。

また、5月には鹿児島別院で催される仏の子の集いに参加したり、8月には市営プールに泳ぎに行ったり、11月には市の公園のフィールドアスレチックに遊びに行ったりするなど、本堂内だけではなく外での活動も取り入れたりしていました。

メンバーは、ご門徒の子どもさんや保育園の卒園児たちで、常時20名から30名近くの子どもたちが来ていました。

10年ほど続けていたのですが、自分がだんだん忙しくなってきたため、月2回が月1回になり、やがて本堂で恒常的に続けることができなくなってしまいました。

その後、今から15年程前に鹿屋市・垂水市・肝属郡にある浄土真宗本願寺派の寺院19か寺で構成する南隅組(なんぐうそ)で、夏に1泊2日でサマースクールを開催しました。

組内から6か寺から87名の子どもたちが参加して、みんなとても喜んでくれたのですが、主催する側の負担がかなり大きかったため、これを続けていくと数年の内にスタッフがもたなくなり、活動が中断することが懸念されました。

そこで、翌年からは組内を6つのブロック(3~4か寺で構成)に分けて、各寺が回り持ちで1日あるいは半日の日程で開催することにしました。

その後、各寺の子どもたちの参加状況を見ながら寺院の組み合わせを変えたりしていたのですが、仏教婦人会でブロック別研修大会を開催する際に、組内を中央(5か寺)・海岸(5か寺)・東部(5か寺)・南部(4か寺)の4地区に分けたことにならい、現在サマースクールも4つのプロックに分けて開催しています。

このほか、当初は5月に鹿児島別院で開催される仏の子の集いに、南隅組でバスを貸し切って参加していたのですが、朝から1日がかりで経費の負担も大きかったりしたことから参加を見合わせる一方、6月に組内の寺院で親鸞聖人の誕生を祝う「子ども降誕会」を開催するようになりました。

また、11月には「ミニ運動会」、1月には「子ども報恩講」を催すようになり、8月のプロック別のサマースクールとあわせると、年4回南隅組主催の子ども会活動が行われるようになりました。

そこで、私が園長を務める認定子ども園の学童クラブの子どもと子ども園の卒園児にも声かけをして、年4回の子ども会活動に参加するようにしました。

今年8月のサマースクールは、私が住職をしている寺院が中央地区の会場になったのですが、4か寺から127名の子どもたちが集まり、一緒に仏参をしたり、法話を聞いたり、毎年ゲームなどを担当して頂いている京都女子大学の宗教教育部の学生さん2名と楽しい時間を過ごしました。

集まった127名の子どもたちの内の35名が私の園の学童クラブとこども園の卒園児だったのですが、1年生は卒園児17名のうちの15名が参加してくれました。

子ども園には、いろいろな小学校区から通園してきていたため、特に1年生の子どもたちにとっては、3月に卒園して以来、初めて顔を合わせるという子同士もいたりして、ミニ同窓会といった感じにもなったようです。

時折、高齢のご門徒の方の中で、父が行っていたサマースクールに参加したときのことを懐かしそうにお話しくださる方がいらっしゃいます。

また、私が復活させた日曜学校に来ていたことを嬉しそうに語りかけてくれる卒園児もいたりします。

なかなか、以前のように毎月2回、あるいは月1回、本堂で開催するという訳にはいきませんが、せめて南隅組主催の子ども会活動に便乗する形で、年4回子どもたちが集まって、一緒にお参りをしたり、法話を聞いたり、ゲームを楽しんだりすることで、お寺との絆を結んでもらえたら…と思っています、そして、参加した子どもたちが、またいつの日か、お寺での子ども会活動に参加したことを笑顔で話しかけてくれることを期待しています。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。