「トイストーリー」で有名なアメリカのピクサー社の映画で、とても好きな「インサイド・ヘッド」という作品があります。

この映画は、人間の頭の中が舞台でそれぞれの感情がアニメーションで映像化されます。

主人公は11歳の女の子。

主人公が生まれた時に、頭なの中で「ヨロコビ」という感情と、少し遅れて「カナシミ」という感情が生まれました。

成長と共に、「イカリ」や「ムカムカ」、「ビビリ」という感情が生まれます。

5つの感情は、「ヨロコビ」を中心に指令室で彼女の人生を幸せにするために奮闘しています。

そして人生の記憶は「思い出ボール」となり整理をされるのですが、人生にとって重要で特別な思い出は捨てられることなく保管され、主人公の性格が作られていきます。

順調だった生活でしたが、引っ越しをきっかけに全てが悪い方向に進んでいき、主人公も頭の中の感情たちも大変な事態へと加速していきます。

喜びの感情で主人公を幸せにしたいヨロコビですが、カナシミ(悲しみ)の感情が邪魔をしているのだと思い、2つの感情は離れしまいます。

しかしヨロコビが絶望に暮れ諦めかけた時、大事にしていた特別な思い出ボールを眺めると、その中には悲しみと喜びが混ざりあっていることに気づき、トラブルを乗り越えることができました。

最後に、成長した主人公の頭の中の指令室では、複雑な感情をコントロールしながら生活をしていく様子が描かれています。

私たちの人生は喜びや楽しみだけがあればいいでしょうか。

悲しみや苦しみはないほうがいいでしょうか。

悲しみを知るからこそ、苦しみを知るからこそ他人を思いやることができます。自分にとって損か得か、関係あるかないかではなく、意味がないと思っていることにも重要な事があるかもしれません。

今こうして私は命をいただいています。

私が生まれるまでにはたくさんの命が繋がれていて、そしてこれからも繋がっていきます。

仏教は映画の物語ではありませんが、悲しみや怒り、喜びなどに惑わされながらも、私の命の在り方を教えてくれます。

不思議にも命をいただき、たくさんの人に願われ、支えられて人生を送ることができるのが私という存在です。

どんな人生であっても、かけがえのない命をともにいただきましょう。

合掌

南無阿弥陀仏