2020年6月法話 『日ごとに変わるあじさいの花』(前期)

今年の九州南部の梅雨入りは5月11日でした。昨年より19日早いとのことですが、平均は5月31日ですから薫風を楽しむ間もなく、鬱陶しい季節を迎えたわけです。

梅雨明けの平均は7月15日頃のようなのですが、梅雨入りが早ければ明けるのも早いのかというと、気象予報では「例年並み」とのこと。個人的にはジメジメした日は苦手なので、自分勝手な思いですが、予報がはずれて、早く梅雨入りした分、早く梅雨明けてほしいと思うことです。

さて、梅雨の時期の花といえば「あじさい」を思い浮かべる方が多いと思います。あじさいは、別名で「七変化」「八仙花」とも呼ばれているそうで、色が変化する花です。なぜ変化するのか調べてみますと、あじさいのアントシアニンという色素が土のph値(ペーハー値)によって変化するそうです。pH値は0~14で表され、中間を7として、低い値は酸性となり、高くなるとアルカリ性になります。酸性が強いと青色、青紫色になり、アルカリ性が高い土壌だと赤色やピンクの花になるそうです。同じ花でも、土の性質によって変化することから七変化、八仙花とも呼ばれているのも納得です。

また、色が変化する理由として土の性質の他に、花の中の色素が分解される花の老化現象といわれることもあるそうです。咲いた頃は青系でも徐々に赤系に変化していく、たしかに考えてみるとそんな気がします。花が咲き終わりに近づいていくと、ごく自然に色が変わるので、花の老化現象といわれているそうです。

普段は何気なく見ている花ですが、調べてみると非常に興味深く、これからは気にしながら見ていきたいと思うことであります。様々な要因で変化し続ける「あじさいの花」を思うとき、わたしたちも同じように変化の中で命を生きていると感じることです。

仏教の根本理念のひとつに「諸行無常」というものがあります。

「諸行」とは、すべての現象のことです。また、「無常」とは様々な原因や条件によって移りゆくもので、永遠ではないということです。

私にとって都合のいいことであれ、悪いことであれ、全てのものは変わっていきます。もちろん私自身も。

変わりゆく中で、この命をどう生きていくのか。

変化し続ける中で、日ごとにあじさいの花が精一杯咲くように、無常の中で、一瞬一瞬を精一杯生きていきたいと思うことです。