2020年6月法話 『日ごとに変わるあじさいの花』(後期)

梅雨に入りました。鬱陶しい日が続きます。

そんな中あじさいは生き生きと花を咲かせています。見るとやはり和みます。人にとっていやな環境もあじさいには居心地のいい気候のようです。

ところが、私たちは「今日はいい天気です」とか「悪い天気です」と言っています。けれども、天気に良いも悪いもありません。すべて私の都合なのです。あれこれ勝手を言わず、その日その日を受け取って心穏やかに過ごしたいものです。

また私たちは、この「娑婆」と言う世界に住んでいます。娑婆とは、忍土、苦しみの多い世界ということです。仏さまの世界は「諸々の苦あることなく諸々の楽しみを受く」と『阿弥陀経』には説かれています。そんな世界へ生まれていけという教え、救いをお釈迦さまは娑婆の苦界に沈む私たちに説かれます。それは、具体的には往生浄土、称名念仏の生活です。

近頃、宇宙も身近になりつつあります。普通の人も宇宙旅行ができるようになってきます。でも、まだまだ宇宙は遠い世界です。種子島のロケット基地からロケットが発射されます。地球を飛び出さないと宇宙には行けないという事です。

でもよく考えるとおかしな話です。地球も宇宙の中にあります。私のいるここも宇宙のど真ん中です。「虫の世の 星空に浮く 地球かな」

と言う名句があります。宇宙は地球を離れた別世界ではありません。

この娑婆世界も仏さまの世界の中にあります。なぜかと言いますと、仏さまの世界は無辺土、宇宙と同じように無限大ですから、宇宙の中の地球のようにこの娑婆世界を包んでおられると思います。

「世界虚空がみな仏、わしもその中、南無阿弥陀仏」

と言う妙好人の言葉を聞いたことがあります。私も仏さまの世界のど真ん中にいるといえます。それを喜ぶ生活を送りたいと思います。