「死んだ人の夢を見ます。どこかで迷っているのではないでしょうか?」とご門徒さんから聞く事があります。何かを暗示しているのではないかと気になっているのでしょう。テレビや雑誌でも夢占いの特集があり、夢に出てくる人物やその様子で意味が変わってくると言います。父親であれば「幸運の訪れ」、母親であれば「誰かに愛される予兆」といったものです。もちろんこれらのことは占いですので、科学的な根拠はあるのか、学問的な裏付けはあるのかという事ではなく、ただ夢を見た人が信じるか信じないかという事だと思います。しかし、だからこそ気になって仕方がないというのが人間の性というものかもしれません。ましてや夢に出てきた人物が最近亡くなった人、それも身近な人であれば、どこかで迷っているのではないか、私に何かをしてほしいのではないかと、心配になります。しかし、そうはいっても夢の話なので、誰かに相談するというのも難しいのではないかと思います。
ただ、浄土真宗の門徒として心に留めて頂きたい事は、亡くなられた方は、阿弥陀仏のはたらきによって浄土の仏様に成られているということです。仏様ですので迷ったりすることはありません。その事は忘れないようにしたいものです。ただ故人が夢に出てきたのであれば、そのことをご縁として寺院にお参りされるのは良いかもしれません。御命日や年忌とは別に寺院にお参りをし、仏様の前で「私もその内そちらに参らせてもらいます」と手を合わせて頂ければ有り難い事ではないかと思います。