「お仏壇は亡くなった人がいなくても購入してもいいものですか?」
という質問は、言い換えると
「お仏壇は死んでから購入するものではないのですか?」
と受け止めることができます。
そういう言葉が出る背景として
「何もないのにお仏壇を購入すると、死人が出る」
という迷信が広く世間一般に流布している現状において、
「お仏壇は死者を祀るところ」
という間違った認識が自然と生まれてきているのです。
つまり、死者を祀るためのお仏壇を安置するわけですから、死者がいなければ困るわけです。
そこで
「お仏壇を先に購入すると入るべき死人が出る」
という短絡的な発想が生まれてきたのでしょう。
お仏壇というのは本来、死者をお祀りするところではありません。
阿弥陀さまをご安置するところなので仏壇というのです。
確かにお亡くなりになった先祖の方々をお仏壇で偲ぶことはあります。
それは、その阿弥陀さまのお浄土へ生まれ往かれたということを偲ぶという意味があるからです。
だからといって死者のためにお仏壇をご安置するわけではありません。
お仏壇をご安置するのは今、生きている私たちの心のよりどころとして常に身近に仰ぐためにご安置するのです。
人生には悲しいこと・辛い事・苦しいこと等様々な出来事が起こります。
しかし、どういう状況になろうともこの私をみまもり、支え続け必ずひかりといのち極みなきお浄土の世界へと導いて下さり、心からの安らぎを与えて下さる阿弥陀さまが私の家にまでお姿をあらわして下さっているのです。
それがお仏壇なのです。
ですから死者が出ていないから購入しないではなく、できれば各ご家庭に心のよりどころとしてお仏壇をご安置していただきたいものです。
拝む対象がなければなかなか掌が合わさらないのが私たちの姿です。
だからこそお仏壇をご安置して家族みんなで朝・夕お参りをして阿弥陀さまを身近に仰ぎながら、心豊かに日々の日暮しをさせていただきたいものです。