今年で、平成も二十年になります。
つまり日本人でいえば「平成」という年号も成人式を迎える訳です。
二十年前、当時まだ官房長官だった小渕さんが、テレビで「平成」という元号の書かれた色紙を掲げていたシーンが懐かしく思い返されます。
子ども心に、それを見ながら昭和が終わったことを感じたことでした。
その頃のことを、あなたはどのような思いで振り返られますか。
二十年前、あなたは学生時代、就職や結婚をした頃、あるいはまだ生まれていなかったという人もいたりするかもしれませんね。
また良いこと、嫌なこと、嬉しかったこと、辛かったことなど、たくさんのことを積み重ねて、今の自分がここにいることを思うとき、
「いつのことだか思い出してごらん、あんなこと、こんなこと、あったでしょう♪」
と、子どもの頃に歌った歌の歌詞がふと胸をよぎります。めまぐるしく移り変わる現代に、やわらかなメロディと優しい歌詞が私の心に「少し立ち止まったり、振り返ったりしては?」と語りかけてくれているかのようです。
驚くような速さで、世の中は情報化、迅速化しています。二十年前とは、比べものにならないほど色んな事が様変わりした今日。
その一つに、以前にもまして何よりも「速さ」が求められている時代だと言えるかもしれません。
最新の情報や話題、交通網、物の流れ、全ての面において「速さを競い合う」というところに、今の時代を物語る特徴があるように思われます。
しかし、その速さが求められる一方で「待つ」という態度が次第に薄れつつあるように感じられます。
何かを「楽しみに待つ」、あるいは「心待ちにする」、そのような「こころ」の成長が、速さと引き換えにかき消されてしまうのは、とても寂しいことだと言えます。
「もういくつ寝ると、お正月…♪」
もしかすると、もうそういうような時代ではないのかもしれませんが、けれども、何かを心待ちにするということは、やはり決して失いたくない大切な心だと思います。
確かに、物質的な面では豊かで、様々なことが驚くほど便利になり、まさにその恩恵に浴して生きている私たちであることは動かしようのない事実です。
けれども、平成二十年、日本人で言えば「成人」ともいえる節目の年の始めにあたり、今こそ少し立ち止まり、振り返り、物に左右されず、しっかり自分と向き合うことのできる成人でありたいと思うことです。