秋らしい気候になり、朝晩の冷え込みを除くと日中は大分すごしやすい気候になってきました。
仕事柄、小学生の子どもたちと話す機会が多いのですが、最近子どもたちからこんな声が聞こえてきます。
「最近の体育の授業、すごく嫌だ、もう走りたくない!」
何の話か?といいますと、小学校では11月下旬から12月初旬にかけてマラソン大会が開催されることが多く、そのための練習をしているというのです。
私も最近、運動不足を解消する目的で、仕事がおわってからジョギングをすることを心がけているのですが、長距離を長時間走ることはやはり大変です。
その大変さがわかるだけに、子どもたちが
「嫌だ!」
という気持ちが、同じことを自分で体験しているだけによくわかります。
でも体力がついてきて、まわりを見渡す余裕が出てくると
「今日はこっちの道にいってみよう」
とか、
「ここにはこういう物があったんだ!」
と新しい発見をすることもしばしばあり、気持ちの面でとても楽しい気持ちになることもあります。
そこで、子どもたちにこう聞いてみました。
「いろいろなものを探しながら走ってみると、案外楽しいよ。どこを走るの?」
すると、一人の子どもがポカーンとした顔をしているのです。
「あれ? 何か変なこと言ったかな?」
と思い、もう一度聞きなおしてみました。
「聞こえにくかったかな? どこを走るの?」
すると、予想外の答えが返ってきました。
「なに言ってるの? 道路だよ、道路。
マラソン大会だから道路に決まってるじゃない! ず〜っと道路だから、地面が硬くて、足が痛いし…、だから嫌だ!」
と言うのです。
「あ! なるほどな」
と思いました。
私は、マラソンのルートのことを聞いたのですが、その子は、自分が走る場所、つまり何の上を走るかを答えてくれたのでした。
道路の上を走るというのは、当り前と思って聞いたのですが、聞き方によって、素直な子どもの耳には自分が思っていることは決して当り前のことではなく、聞き方やとらえ方によって、答えがずいぶん変わる。
また、感じ方もずいぶんかわるんだなぁ、としみじみ感じた瞬間でもありました。
そこで私は、こう返しました。
「ごめんごめん、聞き方が悪かったね。
どの道をどういう行き方で走っていくの? 毎日同じ道でも、違う場所を見ながら走ってみると、新しい発見があって楽しいかもよ?」
と言うと、
「うん、探してみる。あったら教えるね、ありがとう」
と、笑顔で答えてくれました。
自分が当たり前と思っていることが、他人にとっては決して当り前のことではない。
いろんな聞き方や感じ方があるからこそ、そういったことを踏まえて、相手の心情などを考えながら話し、聞いていく。
それが
「思いやる」
ということなのかなぁ、と感じた子どもとの会話でした。
あなたも、周囲の人々に自分の気持ちや考えが正しく伝わっているか。
あるいは、自分だけの思いで誤解してはいないか…、秋の夜長にぜひ一度ゆっくり考えてみるのもよいのではないでしょうか?