『花びらは散っても 花は散らない』

 美しく咲いた花は、たとえ雨にうたれ風に吹かれて花びらは散ったとしても、その花の美しさはいつまでも私たちの心の中に色鮮やかに残っているものです。

また、その花は四季の移り変わりを経て、翌年には再び美しい花を咲かせて、人々の心をなごませてくれます。

 同じく、人はその生命が尽きれば形の上では滅びて行きます。

けれども、縁のあった人々の心の中には、たくさんの思い出と共に生きておられるものです。

大切な人や懐かしい人は、眼を閉じるとその面影が浮かんできますし、まるでその声さえも聞こえてくるかのような気がすることさえあります。

ときに、経典の中に「今現在説法」という言葉があります。

阿弥陀仏は時代と空間を超えて常に「いま」教えを説いておられるという意味です。

親鸞聖人は既に鎌倉時代(1262年)に亡くなっておられますので、当然のことながら私たちは直接お会いしてみ教えを聞くことは出来ません。

 けれども、さまざまな機会を通してそのみ教えに耳を傾けていると、まるでそこに親鸞聖人がいて語りかけて下さるような感動を覚えることがあります。

それは、念仏の教えがいつの世の人々の上にも等しく光を放つ「今現在説法」の教えだからだといえます。