「――沙門西仏、沙門西仏、はてのう――どうも覚えのない名じゃ…
「ごもっともです」 臣下として、玄蕃はそういうほかなかった。…
南海の潮は鯖の背のようにぎらぎら青かった。 ――時はまだ夏の…
「どうじゃ盛綱どの……いや光実御房。生れかわった気がするじゃ…
武士の生涯ほど、一刻一刻が、真剣で血まみれなものはない。 五…
「まず上がれ」と、西仏は遠来の旧友に、昔の武者言葉を出して、…