琵琶(びわ)の海老(えび)尾(お)に手をかけて、四つの絃(い…
僧正が戯(たわむ)れでもいわなければ誰も座を和(やわ)らげる…
「姫が見えぬが」とやがて僧正が訊ねた。 月輪禅閤は、侍臣をか…
吉野の桜はもう散って吹雪になっていたが、月(つき)輪(のわ)…
東山に雲が低く降りていた。 白く乾いた道に、埃(ほこり)が舞…
一日ごとに春は熟れてくる。 範宴は狂わしい眼で外を見た。 聖…