日常会話の中で
「あの人は人間が出来ている」
といわれる時には、それは人柄や人格を指す言葉です。
また
「人間は考える葦(あし)である」(パスカル)
とか、
『人間−この未知なるもの』(アレクシス・カレル著)
といわれる時の「人間」は、人それ自体を指す言葉です。
ところで、「人間」とは人・間と書きますが、「間」という意味はどこにあるのでしょうか。
実はこの人間という言葉は、もともとは仏教語であり、単に人柄や人という存在だけを指す言葉ではありませんでした。
仏教文献には、迷いの世界とその中に生存するもののありさまを説いて
「地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天」
といっています。
その六つの世界、六道の中の一つが「人」つまり人間です。
このように、人間とは、人が関わり合って生きているこの迷いの世界を意味する言葉だったのです。
それで「人」に「間」という字がつけられている訳です。