2歳から6歳の幼児期を思い出してください。
ままごと、かくれんぼ、缶蹴りなどしませんでしたか。
実は、それらの遊びは発達において非常に重要な要素が詰まっています。
ままごとで譬えてみましょう。
砂場に大きな山を作るとします。
そのためには手を使います。
指先を動かすことで脳は活性化します。
きれいな山を作るために目(視覚)を使います。
「お〜い、水をくんできてくれ」
という呼びかけで耳(聴覚)を使います。
山をつくれば
「トンネルを掘ろう」
と言ってトンネルを掘りますが、これは知能です。
そして、川を作り、そこに橋を架けて道路をつなぐ。
これは企画・運営です。
イメージする力を育てます。
たま、言葉を使ってコミュニケーションを取りますので、言語を育てます。
そして、遊びは楽しいので、ストレスが発散でき、集団で遊ぶので人間関係も学べます。
子ども達は、ままごとをする中で、身体・視覚・聴覚・知能・言語・情緒・社会性を育てているのです。
さて、次は小学生です。
この頃は、私も本当に思い出いっぱいです。
友だちとグループを作ってサイクリングで遠くに出かけたり、いらずらをしたりして遊んでいました。
そういうのを心理学ではギャング・エイジと呼びます。
つまり集団生活です。
親や先生から離れ、自分達でルールを作って遊ぶことが発達の上でまた大事なんです。
例えばサイクリング。
遠くに行くので身体を育てます(身体)。
安全を確保するために目を使います(視覚)。
「おい、止まれよ」
という合図で止まります(聴覚)。
「今日は〇〇まで行こう」
と言って企画・運営します(知能)。
そしてコミュニケーションで言語を育てて、楽しく遊んでストレス解消します(情緒)。
集団ですからけんかをしたり、仲直りしたりして人間関係を学習します(社会性)。
小学生がグループを作って遊ぶというのは、将来会社という組織で働く上でも、非常に関係のあるリハーサルをしている訳なんです。
ですから、このグループ活動は非常に大切です。
私は今、教育相談の仕事をしていますが、この仕事につながることを小学5・6年生のときにしていました。
私はその頃、校内で文集を作っており、ローマ生まれでとっても活発なジョンという少年を主人公にして創作童話を連載していました。
少年ジョンは、あるとき交通事故に遭って目が見えなくなってしまうんです。
ジョンは落ち込みますが、目は見えないけど耳があると言って、ピアノを習いコンクールで優勝するんです。
そしてジョンが
「ハンディを背負った人たちに勇気を与えるピアニストになりたい」
と宣言する、そういうお話です。
私にとって、小学生の間に今の仕事への感性が築かれたと言えるエピソードです。