お寺へ足を運ぶ機会というと、年忌の法事やお彼岸などの各法要、あるいはお墓や納骨堂を寺院内にお持ちの方はそのお参りなど、多くの場合参拝を目当てとしてお寺に足を運ぶ方が多いのではないでしょうか。
浄土真宗における寺院とは、
「聞法の道場」
とも言われるように、仏法を聞かせていただく場であり、私たちのお聴聞する姿勢を大切にします。
また人々の信仰の空間、礼拝の場所であることは言うまでもありません。
各寺院には、仏教婦人会(仏婦)や仏教壮年会(仏壮)など、同じ浄土真宗のみ教えのもとに集う同朋(とも)として、役職や肩書きを問わず様々な立場の方が集まり、寺院の法要や行事など、それぞれにご協力、関わりをいただいていることです。
近頃は、お寺を舞台にしてジャズや吹奏楽などのコンサート、落語の寄席、その他にもフリーマーケットやワークショップ、カフェなど、今までのお寺のイメージを覆すような様々な形のイベントを開催する寺院も多くあります。
その企画や運営に携わることで少なからず仏教に出会い、今までの価値観や考え方に変化が生まれ、仏教の、浄土真宗の教えを生きる基盤として、新たな気付きをいただく方も多くいらっしゃいます。
そもそも寺院のあり方とは、風景や伝統建築物としてそこにあるのではなく、人々の生活に密着し、人が行き来し、心の依りどころ、地域の中心として多くのことを発信してこそ身近であり、またそうあるべきであると考えます。
もちろん信仰の場所であり、そのねらいを外してはなりませんが、従来の伝統や固定観念ばかりに固執していては、やはりお寺は今のまま敷居が高く、世間の意識とかけ離れた中で寺院も僧侶も孤立し、今以上にお寺離れが進行していくのは明らかなような気もします。
仏事、法要以外にも、あ、お寺でもこんなことができるんだというところを私たちお寺をお預かりする僧侶こそ工夫を凝らし、ご門徒の皆さまの思いや声をその輪の中で共に聞き、考え、一緒に取り組んでいく姿勢を大切にしなければと改めて思うことです。