「よかたっが!座ったもんせ。」

時節柄、風邪にインフルエンザ、最近では「ノロウィルスなどに注意しましょう」と色々なところで聞きます。

お坊さんである私も、のどを使うので体調には気を遣います。

手洗い、うがい、マスクを着用などなど・・・。

しかし、気を遣っても、なるときにはなるもので、ある朝起きたら熱が38度に咳に鼻水が止まらない私。

風邪?いやインフルエンザ?どちらにしても早めに治そうと思い、早速近所の病院へ行きました。

マスクをして、首にはタオル巻いて、さらにネックウォーマーを着用。

服装も厚着で、風邪ひいています感がバッチリでています。

周りの方もすぐに察するはずです。

受付を済ませ、しばらく待ちます。

他の方々もたくさんいらっしゃいますので、うつすと悪いと思いすこし離れて待っていると、

「お兄ちゃん、こけ座らんな」(お兄ちゃん、ここに座りなさいよ)

と数人のおばあちゃん達からの声がかかります。

「うつすと悪いから、いいですよ」と私。

「よかたっが!座ったもんせ。」(そんなこといわずに、まあ座りなさいよ)とおばあちゃん。

何度かのやりとりのうちに、おばあちゃんたちに囲まれました。

囲まれたら質問が止まりません。

「おはんはだいやったけ?見たこっがあったっどん」(あなたは誰でしたかね?見たことがあるんだけど)

から始まり、

「今日は、いけんしたとな?」(今日はどうしたの?)

と続いて、色々答えておりますと、診察の順番がやってきました。

「質問から解放される」と思ったら少しだけホッとして、診察室へ。

「インフルエンザではない」との診断で、一安心。

あとは、支払いをして、薬をもらって帰るだけのはずでした。

ところが、待合室に戻るとさっきのおばあちゃんご一行が、まだそこにいらっしゃるではありませんか!

「まだお帰りじゃなかったんですね?」と聞いてみると、

「診察は終わったよ。じゃっどん話が終わらんがよ!」と大笑いのおばあちゃんご一行。

先に帰ろうかとも思いましたが、もうしばらくお付き合いさせていただきました。

診察が終わってもしばらく滞在するのは、「病院は楽しい時間を過ごせるところ」だからだそうです。

一方、家では一人なので誰かと会話をすることがないから、色々な人と交わると気持ちが元気になるとのことでした。

“誰かと会う、会話する”

当たり前のように日常の中にある行為として過ごしている私。

おばあちゃん達にとっては大切な時間なのだろうと思うと、なんだか考えさせられたことでした。

話も一段落したので、先に病院を出て、薬をもらいに薬局に行きました。

待っていると、ドアが開いて先程のご一行が再び登場されました。

薬局でもまた、しばらく話しこんだのは言うまでもありません。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。