福島の子どもたちは、未だに外での活動は制限だらけです。
山の除染は全く手つかずの状態なので、震災後、福島の山には入れません。
ですから、もちろん虫を取りにも行けませんし、竹の子を採りに行ったり、山菜を採りに行ったりなんていう経験もできません。
花を摘んだり、石ころを拾ったり、落ち葉にさわったりしても怒られます。
私の娘は、バス遠足で県外に行って
「初めて森に入ったよ。森にはね、虫がいるんだよ。それからね、キノコが生えてるんだよ。キノコって、森に生えてるんだよ」
ということを学校から帰って来て、ものすごく得意になって私に教えてくれました。
そんな環境だからこそ、夏休みなど、少しでも長い期間に休みが取れる時は県外に行って、何も気にせず伸び伸びと遊んでもらいたい。
そういう願いがあって、県外保養という取り組みを震災の年から始めています。
県外のお寺の施設を開放していただいて遊ばせたり、お寺に個人個人でホームステイをさせていただいたりする、そんな取り組みをしています。
初めのうちは、子どもたちのストレスや被爆のリスクをちょっとでも軽減したいということと、空気のきれいな所で、きれいな食べ物を食べて、免疫力をまた回復させたいという願いで始めた保養活動でした。
ただ、これを2年、3年と続けてきて、最近すごく感じることがあります。
それは、子どものための保養だけじゃなくて、実は大人の私たちも救われているんだなということです。
前の年と同じ保養に行ったとき、再会したお寺の方やスタッフの方は「大きくなったね」とか、「また遊びにおいでね」などと声をかけてくれます。
そういう一言を聞くときは、こんなに遠く離れた場所でも自分たちの子どもの成長を願ってくれる人たちがいるんだなと心から実感できる瞬間です。
「頑張って福島で子どもたちを守っていかなくちゃ」
そんな気分と元気をもらって福島に帰ることができます。
ですから、この保養というのは、子どもたちはもちろんのこと、大人の心の支援にもすごく大きな役割を果たしてくれているんだということを感じています。
それから、この青空市場も同じです。
鹿児島や北海道、愛知県などから届いた野菜や、その送り状を見ると、全国にはまだこんなに福島を忘れずに「頑張ってね」と思ってくれている人たちがいるんだと感じられて、たくさんの元気を頂いているような気がします。
もちろん、この食べ物の支援は子どもたちのために、内部被爆を防ぐための役割もありますが、今ではこれも保養と同じで、大人にとっても心の支援なんだということをすごく感じながら市場の開催をしています。