浄土真宗本願寺派(西本願寺)の鹿児島教区には、「鹿児島雅友会(がゆうかい)」(以下雅友会)という組織があります。
雅友会とは鹿児島教区の浄土真宗僧侶の中で雅楽(ががく)を演奏する有志の集まりで、現在50名ほどの会員がおり、私もそこに在籍させていただいております。
主な活動といたしましては、鹿児島別院における春・秋の永代経法要、報恩講法要での奏楽。
依頼があれば、県内各地の寺院での法要においての奏楽、鹿児島別院・教区主催のイベント。
鹿児島県内の学校を回り、多くの子ども達に雅楽や仏教にふれてもらうための活動もしております。
先日、桜島溶岩グランド付近で行われた、鹿児島発の野外ライブフェスに雅友会が呼ばれ、そこで演奏をさせていただきました。
このフェスには鹿児島のバンドを中心に、30組ほどのバンドが参加したのですが、雅楽はその中で異質な存在でした。
今回は、このイベント用にシンセサイザー、ドラム、ベース奏者の方々を迎えて演奏いたしました。
おそらく初めて雅楽にふれたという方も多かったことと思いますが、聴衆の反応も良く、雄大な桜島の麓で、気持ちよく演奏させていただきました。
今回初めてのシンセサイザー、ドラム、ベースとの共演でありましたが、私自身、新たな雅楽の魅力に気付かされました。
当初は、合うものなのか不安に感じていました。
けれども、限られた少ない時間でしたが練習していく中で、お互いの良さを引き出すための議論を通して、ひとつのすばらしい音楽が出来上がっていきました。
私たち自身が気持ちよく演奏出来たことで、それが聴いている人たちにも伝わり、ひとつの心地よい空間がうまれたのだと思います。
互いの音をよく聞き合い、尊敬し合っていくところに、お互いの魅力やすばらしさがあらためて感じられてくるのだと思います。
これは、何も音楽の世界だけの話ではありません。
ただ、自分の主義主張のみを言い合うだけではいつまで経っても平行線のままで、そこに響くのは不協和音でしかありません。
お互いの立場の違いを越えて、共に話し合い、聞き合う「対話」を大切に重ねていくことにより、はじめて人が人を尊敬し合える世界がひらかれてくるのだと思います。
実は、それが仏教の目指しているところであり、私たちにとって大切にしなければならないことだと思います。
今後も、そんな願いを持って演奏をさせていただきたいと思うことでした。