いろいろな「おかげさま」があります。
宇宙という大きなスケールで私たちの存在というものを考えてみますと、祖先がいて今の私たちが存在します。
お父さん、お母さんにはおじいちゃん、おばあちゃんがそれぞれいるわけです。
その人たちにもお父さん、お母さんがいるわけで、ここまで3代下がると8人、関係者を全部足すと14人になります。
10代さかのぼると1024人の親がいるわけです。
関係者全員で2046人、私のお寺は1599年からの歴史があり15代目となりますが、関係した人の数は6万5千人になります。
この人たちの誰1人欠けても今の私の存在はないのです。
ご先祖さまのおかげというのは数で計算してみるとよく分かります。
ずっとさかのぼると現在の地球の人口も超えてしまいます。
宇宙は138億年前に生まれました。
それから90億年後の今から46億年前に太陽が誕生しました。
太陽はほとんど水素でできています。
水素が核融合してヘリウムに変わって、水爆のようにエネルギーを出しています。
46億年続いていて、あと50億年も続きます。
とてもいいエネルギー源です。
太陽はヘリウムまでですが、大きな星はヘリウムがまた燃えて炭素や酸素を作り、それらがまた燃えてネオンやシリコン、マグネシウムや鉄まで星の中で元素を合成しています。
そして、それがある時大爆発して、中の元素を宇宙空間にばらまきます。
実は宇宙が生まれた最初、元素は水素しかなかったのです。
その水素から星が生まれ、それが第1世代、それが100万年ほどで爆発して宇宙空間にわずかに元素をばらまき、その元素が混じった水素から第2世代の星が生まれ、続いて第3世代の星が生まれました。
今から46億年前に太陽が誕生して、その周りの塵のようなものがたくさん集まって地球ができました。
それから地球が進化して水をたたえ、最初の細胞が出来て、今60兆個の細胞をもつ私たちの生命に進化してきています。
これが物質的に考えた宇宙の歴史です。
私は年齢を聞かれたら「138億66歳」と答えます。
私の命としての細胞は父や母から66年前にもらったもので、1個の細胞が60兆までになったわけですが、この物質はどこから来たかと考えると、138億年というずっと長い宇宙の歴史そのものがこの体の中に受け継がれているということです。
仏教の基本的な教えの「諸行無我、諸行無常」は、非常にすばらしい洞察だと思います。
私たちはすべて変わっていくという関係性の中に生かされているわけです。
父や母のおかげで生かされているし、社会の中でも生かされています。
教えの中でも生かされていますが、物質的にも宇宙の138億年前と全部つながっていて生かされています。
宇宙の塵の中から生まれたので「私は宇宙塵(うちゅうじん)」と言うこともできます。