葬儀・法事の御礼を「お布施」というのはどうしてですか。

葬儀や法事が終わり、ご家族の方から表書きに「お布施」と書かれた封筒をいただきます。

このお布施の意味は、清らかな心で行う精一杯の施しという意味です。これはどなたへの施しかといえば、僧侶への施しではありません。浄土真宗でいえば阿弥陀さまへの施しです。

私が僧侶になりたての頃、先輩僧侶からきつく教えていただきました。「法事が終わってご門徒さんがお布施を出される。それを頂くときに絶対に有難うございますとは言うなよ。“お預かりします”といいなさいよ。ご門徒さんはあなたに布施をしているのではなく、阿弥陀さまへお布施をされたのだから。」と。

葬儀や法事でする僧侶の仕事は阿弥陀仏のお取次ぎです。電話の取次ぎと一緒で、阿弥陀さまのみ教えをご門徒さんに取り次ぐ。ただそれだけの仕事です。私は、仏教の専門学校に通っている時、先生から口酸っぱく「僧侶は阿弥陀さまの邪魔をするなよ」と言われていました。僧侶が阿弥陀さまの邪魔をしなかったら自然と仏法は弘まってゆくのでありましょう。これが大変大変難しいことでありますが・・・・

皆さんのなかにも法事に出られて、寂しさや悲しみが癒されたり、清らかな心になられた経験がおありのかたもいらっしゃるのではないでしょうか?それは僧侶の力ではなく阿弥陀さまのお力です。

だから、お布施は阿弥陀さまへのお布施であり、そこに僧侶へのお礼という意味はありません。

僧侶はいただいたお布施を寺院に持ち帰り、それを阿弥陀さまへお供えします。阿弥陀さまに布施された、仏飯や果物をおさがりとしていただき、お給料も阿弥陀さまからいただいて、僧侶は阿弥陀さまに育てられてゆくのであります。