私は、一般的なサラーリーマン家庭に生まれ育ちました。
そのため、お寺に嫁ぐまでは
時々お寺や仏さまのご縁に出遇う機会はありましたが
特に深い関心を持つということはありませんでした。
お寺に嫁いですぐのころ
「ん?」
と、疑問に思ったことがありました。
それは、おばあちゃん(前々坊守)がしばしば口にする
「なんまんだぶ」
という言葉でした。
それまで私は
「なんまんだぶ」
は、「仏さまの前でしか言わないもの」と思っておりました。
ところが、おばあちゃんはふとした時
口癖のように称えていました。
その姿は、何も解らない私にとっては
とても不思議な光景でした。
おばあちゃんが亡くなって10年以上経ちますが
今ではあの姿が私の理想となっています。
「なんまんだぶ」
と、お念仏を口にする度に
阿弥陀さまがおばあちゃんと共に
私の称えるお念仏の声となって
いつもいらしていると思うことです。
「なんまんだぶ」
その不思議な温かい言葉が自然とこぼれる
念仏おばさんとなっていきたいものです。