過去帳とはどんなものですか

過去帳とは、亡くなられた方の法名・俗名・亡くなられた日にちなどを記録した帳簿のことです。過去帳といえば、寺院に備え付けてある過去帳と、家庭のお仏壇にご安置してある過去帳があります。

 

寺院に備え付けてある過去帳は、そのお寺の檀家・門徒で亡くなられた方の法名などが古くから記載されております。こちらは個人情報であり閲覧が制限されておりますから、寺院の奥のほうに保管してあります。

家庭の過去帳には、その家の亡くなられた親族・先祖方の法名などが記載されています。家庭用の過去帳は比較的小さい折れ本式のもので、専用の過去帳台を用いて、正面のご本尊の仏さまが隠れないようにお仏壇に置きます。そして、ご命日には、その方のページを開きます。

 

過去帳と同じように、亡くなられた方の法名などを記すものにお位牌があります。

過去帳とお位牌は同じような役割をしますが、浄土真宗では、正式にはお位牌ではなく過去帳を用います。

私の地域では、葬儀はお位牌を用いて勤めますが、四十九日法要を目処に、お位牌に書かれてある情報を過去帳に転記し、過去帳を用いるように勧める寺院が多いです。(過去帳に転記したあとのお位牌は寺院で処理されます)

お位牌ではなく過去帳を用いる理由は、お位牌は儒教から来ているものであるからだろうと思います。儒教ではお位牌に亡くなられた方の霊がやどるとされ、お位牌を大事にされるようです。

 

ご門徒さんの家にお参りに行くことがありますが、時々、お位牌でお仏壇が一杯になっているご家庭に出会うことがあります。その方は、位牌を大事にされ、亡き方が好きだったというビールやら食べ物をたくさん位牌の前にお供えになっておりました。肝心のお仏壇の主役である阿弥陀仏は、そのお位牌に隠れ、その影が薄くなっていました。

これではもう仏壇と呼ぶことはできず、「先祖の霊をお祀りする儒教的な壇」に変わってしまっています。

 

浄土真宗における仏壇とは、先に亡くなられた方、残された私たち、すべてのものを必ず助けるとおっしゃる“阿弥陀仏を安置する壇”を「お仏壇」といいます。

お位牌は儒教的な要素が強いために、位牌は用いずに過去帳を用いるのであるといただいています。