よく考えてみたいのですが、人は誰もが表面的には「悪を好む」どころか、「善を一生懸命に励んでいる」といえます。
けれども「偽の教え」に基づいてなされている善は、究極的には悪でしかないというが、親鸞聖人の結論なのです。
そこで、人を迷わせる偽の教えと、仏教の教えとの違いがどこにあるかを明らかにするために、仏教の教えの特徴を述べてみたいと思います。
親鸞聖人は、仏教に出会っている人は「善を好む人」だと言われますが、ではいったい仏教の何が人をして善を好ませているのでしょうか。
仏教の教えには、三つの特徴があるといわれています。
一つは「無我」ということ。
二つには「無常」ということ。
そして三つめには「涅槃」ということです。
この三つの柱の有無が、一つの教えを仏教であるかないか見分けるための重要な目印となるのです。
したがって偽の教えとは、とりもなおさずこれら三つの柱を説かない教えであると言い得ます。
もし私たちが仏教以外の教えを信じるとしますと、それはまさに無我と無常と涅槃に反することを願っていることになります。