「大家族、見守り愛、励まし愛、支え愛」(上旬) 息子たちの役目

======ご講師紹介======

西川ヘレンさん(タレント)

☆ 演題 「大家族、見守り愛、支え愛、励まし愛」

昭和二十一年京都市生まれ。昭和三十八年に吉本興業に所属し、昭和四十二年に西川きよしさんとご結婚。その後、二男一女をもうけられました。

現在は大阪府箕島面市にきよしさんのお母さん、長男の忠吉さん夫妻とお孫さんの四世代で同居しておられます。

著書に『幸せの鐘がきこえる』『ヘレンのもう、いや! 多重介護奮戦録』『西川ヘレン&かの子のおいしい和風レシピ』などがあります。
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タレント 西川ヘレン さん

 主人の両親、私の母と私たちが一緒に暮らして三十六年以上たちますが、最初の頃はみんなお互いに遠慮がありました。

例えば一つのお饅頭があって、みんながおいしそうやなと思ってても遠慮して取ろうとしないんです。

それを三等分してお茶を入れて持っていくと、気兼ねなく「こらおいしいわ、ありがとう」と食べてくれます。

それからはこちらが先に気がついて「何でも三等分にしないといけないな」と勉強させてもらいました。

 そんな生活の中でも、特に大変だったのは台所でした。

三人の女性が台所で炊事するということは大変です。

それぞれ味付けも切り方も違います。

そうなると料理のたびに「そこは違う、それはいかん」とお互いに口を出し合って、時には言いすぎてしまうこともあるんです。

 お互い気兼ねなく言いたいことを言えるというのは家族としてはいいことなんですが、おいしいものを作るはずがそうではなくなってしまうというのは残念なことですね。

それを主人が見て「炊事は私、洗濯は母、そして掃除は義母というように家の仕事をそれぞれ分け合ったらどうか」と言ってくれました。

 そのおかげで義母は掃除にまわってくれて、私の母は洗濯にまわってくれまして、それで私は台所を預かる身としておじいちゃんとおばあちゃん二人、主人や子どもや大勢のお弟子さんの食事を一手に引き受けることになりました。

 特に食事というのは、ご年配の方にとって何よりの楽しみなんです。

おじいちゃんたちが食べたいとおっしゃるなら食べやすいように調理します。

喜んでもらえて、しかも胃に優しく、きれいに便になるように、私はおじいちゃんたちの楽しみの作り手としていろいろ工夫してお出しするんです。

 まだ娘が産まれていない頃、夕食の時間になると、おじいちゃんはもう先に食べて上がっています。

主人はまだ帰ってきていません。

息子二人とおばあちゃん二人で夕飯をよばれます。

お仏飯をお供えするのも、茶碗にご飯をよそうのも、息子たちの役目としています。

 ご飯を食べるときに、おばあちゃん二人が「有り難いことやな。

パパが一生懸命に働いてくれて、ママがそれを買いに行ってくれる。

買いに行った先のお野菜やお魚は、農家の方や漁師さんが一生懸命に育てたり取ったりして、それを届けてくれたおかげで煮たり炊いたりすることが出来る。

これを残さんと、感謝してよばれなあきませんよ」と言います。

 これを毎日毎日、母二人が子どもたちに言って聞かしてくれました。

そしておばあちゃんが「頂きます」と声をかけると、子どもたちはそろって「頂きます」と言って食べはじめます。

おばあちゃん二人はその様子を見て食べてました。

いま思ったら、本当に楽しいことをいっぱい置いていってくれはりました。