2022年8月法話 『亡き人が私と仏法との縁となる』(前期)

お盆がやってきます。

今年こそは帰省をしようと思っている方もいらっしゃることでしょう。

コロナも心配ではありますが、今年のお盆は、できるだけ家族揃って、先だった方々を偲ぶ時間がもてたらいいですね。

さて、仏教徒は、先だった方の命をご縁としてご法事を勤めます。それはお盆法要やご命日法要など様々です。

法事ではお経を読みます。

このお経は、2500年以上前にお生まれになり仏教を開かれたお釈迦さまのお説教であり、生きている私たちに向けて説かれています。そのためお経を読む空間は、お釈迦さまが説法された空間を再現するのだと聞かせていただいたことがあります。

浄土真宗という宗派で特に大切にしているお経を「仏説無量寿経」といいますが、これはインドの王舎城というところの耆闍崛山(ぎしゃくっせん)という山で、一万二千人の弟子たちに向かっての釈尊のご説法です。

ご法事で、仏説無量寿経を読ませていただく時には、法事をつとめる場所が王舎城の耆闍崛山になる。そしてご遺族の後ろには、一万二千人のお釈迦さまのお弟子さんがいらっしゃる。そしてその場にお釈迦さまがお出ましになって、私たちに向かって説法をしてくださる。そのように会座が再現されるといいます。

その釈尊の説教の内容は、本願一乗といわれる、この私が間違いなく浄土へ生まれ仏にならせていただく唯一無二の教えです。

亡き人が、忙しい忙しいと心をなくし空しく過ごそうとする私たちの足をとめて、大事なものがあるんだよ。遇うべきものがあるんだと導いてくださったご縁が、お釈迦さまのお説教というご法事の場です。

ご法事は、亡き方のためにするのではなく、亡き方からいただいた大切なご縁でありました。