「暑さ寒さも彼岸まで」
と言われますように、彼岸の時期になりますと不思議と寒さも和らぎ過ごしやすい気候へと移り変わっていきます。
異常気象が言われる昨今ではありますが、お彼岸の時期になると決まって花を咲かす赤や黄色の彼岸花を見ますとなにかホッとさせられます。
彼岸は、太陽が真西に沈む春分や秋分の前後7日間にわたる仏教行事であり、平安時代に日本で始まったものといわれています。
彼岸の中日ともなりますと鹿児島県内そして全国の墓地では早朝からお墓のお掃除とお参りに行かれる多くの方々の様子が報道されます。
彼岸とは、彼の岸のことで、煩悩で汚れた此の岸(この世)に対して、清浄なお浄土のことを指し示す言葉です。
1つには、仏道修行をするのに最適な時節であること。
2つには、太陽が真西に沈むことを、生の帰する処と意味づけて、お浄土を観想していく法会(ほうえ)とも言えます。
もっとも浄土真宗においては、本願寺第3世宗主の覚如上人の『改邪鈔』に
「二季の彼岸をもって念仏修行の時節と定むる、いわれなき事」
と示されております通り、お彼岸の期間だけを重視するということでなく念仏する者は普段から仏恩報謝の念仏に励むべきことと諭されるのです。
お彼岸を墓前清掃期間として終わらせることなく、故人を偲びつつ、往生されたお浄土と仏徳を讃嘆する法会(ほうえ)として大切に勤めていくのが私たち浄土真宗の考え方です。
お墓に足を運ぶだけでなく、彼岸会(ひがんえ)の勤まっているお寺で聴聞して頂ければと思うことです。
なお、それぞれのお寺によって法要がお勤めされる日が異なりますので、事前に問い合わされてからお参りされますことをお勧めいたします。