粟田口の雑木の葉がすっかり落ちきって冬日の射す山肌に、塔の欄…
「おお、ほんに」 範宴は、箭四郎の手をとって、 「よいものが…
「彫らしてくれますか」 光斎と、祥雲の二人は、顔を見あわせた…
銀杏が、黄ばんでくる―― 秋となると、うるさいほどな鵙(もず…
【不作法者め!】声には、出さなかったが、範綱は、はたと、睨み…
人々の顔に、喜色が、かがやいた。 「そうか、ではすぐに、得度…