報恩 おかげさまと 生かされて

 「知恩報徳」という言葉があります。

「恩を知り、徳に報いる」ということで、この言葉から「報恩」あるいは「恩徳」という言葉が成り立っているように思われます。

いずれの言葉にも「恩」という文字が含まれていますが、この「恩」は「因を知る心」を表しています。

 「因」とは「原因」のことで、仏教では「結果から見ると、必ずそこには原因がある」と説きます。

例えば、美しく咲いた花という結果から見ると、そこには原因となる種の存在があります。

このような意味で「恩」とは、いま自分が受けている恵みの原因を知る心だと言えます。

 これと同じような言葉に「お陰さま」という言葉があります。

これは同様に、いま自分が受けている恩恵のまさに「陰」の部分を知り、感謝の思いを表す言葉です。

何事も「当たり前」と思っている心からは決して出てはこない謙虚な言葉です。

 さて、この一年を振り返ってみると、私は周囲の多くの方々に助けられ、支えられ、また海の大地の無数の生きもののいのちを頂いて、それらの「お陰さまに生かされて来た」のでした。

そのご恩を知り、少しでもその徳に報いていけるように努めていきたいものです。