「頭をさげる」「頭がさがる」 同じようで大違い

 

 日頃、私たちはどのようなときに頭を下げているでしょうか? 挨拶をする場合を除くと、他人に何か物事を頼んだりするという場合が多いようです。

それは言い換えると、「自分に何か利益をもたらしてくれそうな相手に相対したとき」と言えるように思われます。

 つまり、その相手に対して心の底から頭を下げているのではなく、その相手が自分に何らかの利得をもたらしてくれるという期待感が頭を下げさせているのだと言えます。

そのために、相手に利用価値がなくなると、その途端に下っていた頭は持ち上がってしまうようです。

 一方、私たちは親切にしてもらったり、いわゆる「お陰さま」という思いを持ち得た時には、自然と頭が下がるものです。

それは、頭を下げたから何らかの利益を得ることが出来るからではなく「この私のために…」という感謝の心が自然と頭を下げさせるのだといえます。

 外から見ると「頭をさげる」ことと「頭がさがる」ことは、全く同じように見えます。

けれども、その内実には大きな違いがあります。

日頃の自分の生活を振り返ってみて…、いかがですか? 本当に心から「頭がさがる」ような事実と出会っておられますか?