『人は家庭をつくり 家庭は人をつくる』

「家庭」というのは、私たちにとっていったいどのような場所なのでしょうか。

それはおそらく「いつでも安心して帰れるところ、ほっとするところ、心からくつろげるところ」だと言えます。

そして、そのような場所を持ち得てこそ、人は誰もが外の世界(社会)に出て精一杯活動することが出来るのだと思われます。

それはあたかも、いつでも帰ってくることの出来る「母港」があるからこそ、多くの船が大海原を航海できるのと同じことです。

 このような意味で、人が家庭を作るのは、社会生活を営む上で「心のやすらぐ場所」を持ちたいという意識がはたらくからではないでしょうか。

そして、安心して帰れる家があるからこそ、私たちは人生という旅を続けて行くことが出来るのだと思われます。

 けれども、その家庭がいつも心やすらぐ場所かというと、必ずしもそのような時ばかりではなく、喜びと悲しみ、愛と憎しみなど様々な事柄が渦巻いていたりすることもあります。

もちろん、平穏無事であるにこしたことはありませんが、なかなか思い通りにはならないのが現実です。

「必要にして十分な人生」という言葉がありますが、私たちの人生にはひとつも無駄ことなどありません。

悲しみを通さないと見えてこない世界もありますし、喜びを分かち合う家族がるからこそ、生きる勇気もわいてくるのです。

そうしますと、私達は自分の作った家庭において、その身におきる様々な事柄を経験することを通して、やがて人として育っていくのだといえます。